どこが違う?静的サイトジェネレータとWordPressを徹底比較
公開日:2020年9月8日
WordPressサイトからの移転先・引越し先として検討される静的サイトジェネレータ。両者の違いを、仕組みやコスト面から比較しました。
静的サイトジェネレータとWordPressの基本的な違い
まずは、基本的な静的サイトジェネレータとWordPressの違いを見てみましょう。
静的サイトジェネレータ | WordPress | ||||
---|---|---|---|---|---|
言語 | Go、Node.js、Reactなど | PHP | |||
ページの表示方法 | 静的 | 動的 | |||
記事の作成・管理 | ファイルシステム | 管理画面 | |||
記事の保存 | マークダウンファイル | データベース(MySQL) | |||
公開サーバー | Webサーバー | Webサーバー + PHPサーバー + MySQLサーバー | |||
記事のバージョニング | Git | データベース(MySQL) | |||
記事へのコメント | 外部サービス | システム連動 |
ほとんど別物と言っていいくらい違いますね。詳しくみていきましょう。
記事の管理・表示方法の違い
データベースかファイルベースか
両者の一番大きな違いは、記事の管理方法です。
WordPressは、記事の管理をデータベースで行います。
PHPサーバーで文書管理画面(いわゆるWordPressの管理画面)を表示して、入力した記事情報をPHP経由でMySQLデータベースに保存します。そして、ページを表示する際も、リクエストごとにデータベースから記事データを取り出して、PHPでテーマに合わせたHTMLを表示させます。
一方で、静的サイトジェネレータは、文章はマークダウンファイルで管理します。
通常のファイルと同様にファイルシステム(Windowsならエクスプローラ、macOSならFinder)で幕ダウンファイルを管理して、サーバーに公開する際に、「全てのページのHTMLを生成して」アップロードします。ページにリクエストが来ると、生成された静的なHTMLを表示するので「レスポンスごとに記事データを参照しない」という仕様です。
記事のバージョニング方法
記事のバージョニングという意味では、WordPressはデータベースに全てのバージョンを格納します。これがWordPressサイトが重くなる一因になっていて、記事が増えるほどデータベースが肥大化して、動作速度が遅くなり、ページの表示速度も遅くなります。
一方で、静的サイトジェネレータの場合は、一般的にはGitでファイルを管理するので、コミットした段階の全ての履歴が参照可能で、かつページの表示システムとは完全に切り離されているので、ページ表示速度には影響がありません。
サーバーの違い
WordPressを「1クリックインストール」可能なレンタルサーバーを使っていると気づきにくいですが、WordPressでサイトを公開するには、
- Webサーバー(Apache、Nginx、Litespeedなど)
- PHPサーバー
- MySQLサーバー
の3つのサーバーが必要です。
一方で、静的サイトジェネレータの場合は、最低限の場合(ローカルでビルドを行う場合)は、
- Webサーバー(Apache、Nginx、Litespeedなど)
だけでサイトを運営できます。
実際にはCI/CDなどのビルドサーバーを組み合わせて使いますが、月間300分くらいの無料枠があるのサービスが多いので、コストとしては意識しないで使えます。
このサーバーの違いは、サーバー維持費用にそのまま返ってきます。
サイト維持コストの違い
次に静的サイトジェネレータとWordPressのサーバー維持コストを見てみましょう。
静的サイトジェネレータ | WordPress | ||||
---|---|---|---|---|---|
運用サーバー | レンタルサーバー、VPSなど | レンタルサーバー、VPSなど | |||
月額最安値 | 2〜300円程度 | 無料 |
WordPressが無料で使えるサーバーもありますが、広告なしフル機能で使えるサーバーはないので、実質月額2〜300円程度ほどのサーバー維持費が「サイトを公開し続ける限り」発生します。
一方で、静的サイトジェネレータは、NetlifyやGithub Pagesなどビルド機能込みで完全無料で使えるサービスが多くあるため、「サービスが無料である限りずっと無料」で公開できます。
また、WordPressサイトの場合、アクセスが増えるとそれに合わせてサーバーをアップグレードする必要があり(サーバーが重くなるため)、サーバー費用もそれに応じて上がっていきますが、静的サイトの場合は、アクセスが増えてもサイトが重くなることはそうそうありません。
イメージとしては、静的サイトであれば、月間・100万PVクラスのサイトを無料で問題なく運用できます。
WordPressから静的サイトジェネレータ乗り換えに最適なサイトは?
企業サイト
企業サイトは、WordPressから静的サイトジェネレータ乗り換えに最適なサイトタイプかもしれません。
ページ更新頻度があまり高くなく、「Webサイトを持っておきたいけど、サーバー費用はあまりかけたくない」というニーズに静的サイトジェネレータはマッチしています。
問題点は、管理者・作業者がある程度システムを理解していないと、トラブル時に対処できない点でしょうか。
ブログ
WordPressは、初めてのサイトや初めてのブログ、またはブログサービスからの移行先として人気ですが、記事数が1000件程度のWordPressブログであれば、静的サイトジェネレータへの乗り換えは効果的でしょう。特に、表示速度の面では威力を発揮します。
逆に、1万件を超えるようなWordPressブログだと、DBからマークダウンファイルへのコンバートだけでもかなりの労力になるので、計画的に慎重に進める必要があります。
ブログは積み上げ式のサイトなので、記事数が多い場合もあるかと思いますが、1000件ほどならビルドは1分未満、数万ページでも数分でビルドできます(ページの構成にもよります)。
静的サイトジェネレータとWordPressの違いをみてきました。
サイト上の見た目はほぼ同じなのに、実は根本的に全く別物の静的サイトジェネレータとWordPress。それぞれ良い点・悪い点があるので、サイトにあった方を選んでください。