多言語サイトのドメイン・URLパターン完全版:それぞれのメリット・デメリット・事例まとめ

多言語サイトのドメイン・URLパターン完全版をまとめました。それぞれのメリット・デメリットや、実際の採用事例、想定ケースごとの最適なパターンもまとめました。

最初にターゲットを設定しよう

サイトの多言語化をする際にまず大事なのがターゲティングです。

例えば、この記事を読んでいる方は日本人の方でしょうから、日本語サイトは持っていることでしょう。今回、ご自身のサイトを多言語化して、例えば英語圏の方に向けたコンテンツを充実させようとした場合、

ターゲット 言語 コンテンツ
日本にいる日本人の方 日本語 現状ページ
日本にいる外国人の方 英語 現状ページの英語版
海外にいる外国人の方 英語 海外の方向けコンテンツ(英語)

この3つのターゲットが思い浮かびます。

もし、日本国内・国外にそれぞれオフィスがある企業サイトを多言語化するのであれば、例えば「オフィスへのアクセスページ」一つをとっても、

ターゲット 言語 コンテンツ
日本にいる日本人の方 日本語 日本の営業所の日本語ページ
日本にいる外国人の方 英語 日本の営業所の英語ページ
海外にいる外国人の方 英語 日本国外の営業所の英語ページ
海外にいる日本人の方 日本語 海外の営業所の日本ページ

4つのターゲティングができます。

「日本の営業所の英語ページ」は日本語版ページの英訳でも構いませんが、「日本国外の営業所の英語ページ」というのは日本語ページのアクセスページとは全く別のコンテンツになります。その意味では、「海外の営業所の日本ページ」は「日本国外の営業所の英語ページ」の日本語訳ページとも考えられます。

このように、ターゲティングはサイトやビジネスによって様々です。

ターゲティングからURL・ドメイン構造を決めよう

ターゲティングができたら、ターゲットに合わせてドメイン・URL構造を決めます。

Google公式の多言語化方法は、

  • 国別のドメイン方式(example.jp, example.uk)
  • gTLDのサブドメイン方式(en.example.com)
  • gTLDのサブディレクトリ方式(example.com/en/)

の3種類です。

多地域、多言語のサイトの管理 | Search Console ヘルプ

上記のSearch Console ヘルプページにもありますが、「?loc=en-us」といったパラメータ形式は非推奨なので採用しないようにしましょう。

ちなみに、gTLDというのは「Generic Top Level Domain:分野別トップレベルドメイン」のことで、.comや.net、.orgなどがそれに当たります。

TLDの一覧 | 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター

国別のドメイン方式のメリット・デメリット・採用例

国別のドメインとは、ccTLD(country code Top Level Domain)のことで、日本なら「.jp」、イギリスなら「.uk」などがそれに当たります。

この方式の場合、ドメイン=対象国なのでシンプルでわかりやすく、検索エンジンも「ccTLDドメイン=その地域向けのサイト」と見做す傾向にあるので、SEO的にも切り分けがシンプルです。

メリット デメリット
対象国が明確になる
サイトの構造がシンプルになる
サーバーを分けるのも簡単
希望のドメインが取得できるとは限らない
ドメイン費用がかさむ
SEO評価がやや分散する
ドメイン・サイトの管理が煩雑
在留していないと取得できないことがある

国別のドメイン方式を取っているのは、下記のようなサイトです。

サイト 日本 海外
SONY sony.jp sony.com (SONY USA)
JAL(日本航空) jal.co.jp jal.com (グローバル)
トヨタ自動車 toyota.jp toyota.com (グローバル)
Google google.co.jp google.com (グローバル)
Amazon amazon.co.jp amazon.com (US)
パナソニック panasonic.jp panasonic.com (US)

販売を伴うサイトやサービスで採用されることが多いようです。販売を伴う場合は、各国の法令に合わせる必要があるため、そういった理由もあるでしょう。

Googleに関しては、現状はほとんどgoogle.comに集約されているので、各地トップレベルドメインでgoogleドメインを守るために持っている感じもあります。

gTLDのサブドメイン方式のメリット・デメリット・採用例

example.comなどのgTLDのサブドメインに国ターゲットを設定する方法です。

メリット デメリット
対象国が明確になる
サイトの構造がシンプルになる
サーバーを分けるのも簡単
Search Consoleの地域ターゲティングを使用できる
SEO評価が分散する可能性がある
ec, api, admin, secureなどの他の意味のサブドメインと混合されてしまう
ドメイン・サイトの管理がやや煩雑

gTLDのサブドメイン方式を取っているのは、下記のようなサイトです。

サイト 日本 海外
Wikipedia ja.wikipedia.org wikipedia.org (グローバル)
en.wikipedia.org (英語)
facebook ja-jp.faceook.com facebook.com (グローバル)
pt-br.facebook.com (ブラジル・ポルトガル語)
Linkedin jp.linkedin.com linkedin.com (グローバル)
indeed jp.indeed.com indeed.com (US)
スクエア・エニックス jp.square-enix.com square-enix.com (グローバル)

主に「コンテンツを閲覧・作成する人を切り分けられるサービス系」のサイトに採用されることが多いようです。

ちなみに、サブドメインの決め方は、Wikipediaなどが言語コード(ISO 639-1コード)で、facebookは言語・地域コード(ISO 639-1コードとISO 3166-1コードの組み合わせ)になっています。

gTLDのサブディレクトリ方式のメリット・デメリット・採用例

ドメインは単一のgTLDでサブカテゴリで展開するパターンです。

ドメインにSEO評価を集中できるほか、コンテンツの管理が一元化できるメリットがある一方で、サイトの構造やシステムは複雑になり、サーバーの切り分けに高度な設定が必要になります。

メリット デメリット
単一ドメインで管理が楽
サブドメインを自由に使える
Search Consoleの地域ターゲティングを使用できる
コンテンツの管理が容易
サイト構造・システムが複雑になる
リンク構造を間違えると大変な事になる
サーバーを分割しにくい

gTLDのサブディレクトリ方式を取っているのは、下記のようなサイトです。

サイト 日本 海外
Apple apple.com/jp/ apple.com
旭化成 asahi-kasei.com/jp/ asahi-kasei.com
MS&AD ms-ad-hd.com/jp/ ms-ad-hd.com/en/
ms-ad-hd.comトップはリダイレクト
ファーストリテイリング fastretailing.com/jp/ fastretailing.com/eng/
マイクロソフト microsoft.com/ja-jp/ microsoft.com/en-us/

この方式の場合は、ディレクトリの切り方はサイトごとに様々で、Appleや旭化成のような「教科書通りのサブディレクトリの切り方」もあれば、ファーストリテイリングやMS&ADのように、完全にサブディレクトリだけで運用してドメインルートを封じてしまうやり方もあります。

サイトのパターン例で比較してみる

日本国内の公共サイトの場合

日本国内の公共サイト(行政、学校、NPOなど)の場合、

  • 国内の日本人
  • 海外の日本人
  • 国内の外国人

の3つのユーザーが想定されます。

それぞれのユーザーに対してコンテンツ自体は基本的には同じですので、「gTLDのサブドメイン方式」か「gTLDのサブディレクトリ方式」が良いでしょう。サービス地が国内にしかない以上「国別のドメイン方式」で切るのは避けましょう。

行政サイトなどで「在留外国人の方向けサイト」(例えば、在留外国人向けのコミュニティサイトなど)がある場合には、日本人のユーザーには関係ないコンテンツになるので「gTLDのサブドメイン方式」で切って、日本人・外国人共通コンテンツを「gTLDのサブディレクトリ方式」とすると良いでしょう。

URL 言語 対象 コンテンツ
exmaple.ac.jp/access/ 日本語 日本人 アクセス方法
exmaple.ac.jp/en/access/ 英語 外国人 アクセス方法
en.exmaple.ac.jp/bbs/ 英語 外国人 掲示板

公共サイトの場合、「go.jp」や「ac.jp」、「or.jp」などを使っていることもあります。その場合、「gTLD」というGoogleのガイドラインには反してしまいますが、あくまで「日本の公共サイト」という意味では間違ってはいないので、そこまで気にしないでも大丈夫でしょう。

国内だけの宿泊施設・お店(飲食店など)のサイトの場合

この場合は、ユーザーは、

  • 国内の日本人
  • 海外の外国人
  • 国内の外国人

の三つが想定できます。

こちらの場合、サービス主体である「宿泊施設・お店」自体は国内だけで、コンテンツの中身も基本的にはほぼ一緒、「違うのは言語だけ」になりますので「gTLDのサブディレクトリ方式」がオススメです。

URL 言語 対象 コンテンツ
exmaple.com/access/ 日本語 日本人 アクセス方法
exmaple.com/en/access/ 英語 外国人 アクセス方法

ただし、「単純に機械翻訳で英訳するだけ」なのであれば、検索エンジンから重複コンテンツ扱いされる可能性もあるので、無理に多言語化をせずに、素直にGoogleサイト翻訳へのリンクを設置した方が良いでしょう。

国内・海外に営業所がある企業のサイトの場合

このケースの場合は、

  • 国内の日本人
  • 海外の外国人

の二つのユーザー層がメインでしょう。

この場合は、ビジネス自体が地域に根ざすもので、コンテンツや営業所の住所や連絡先などがガラッと変わる可能性もありますし、そもそもコンテンツの管理が各国の営業所の人間になることがほとんどなので、「国別のドメイン方式」がベストです。

ccLTDは「その国に住んでる or 事業をしている」といった制限があることが多いため、その国に営業所があるというメリットを活かせるのもプラスです。

URL 言語 対象 コンテンツ
exmaple.com/access/ 英語 全世界 世界各国の事務所へのアクセス方法
exmaple.uk/access/ 英語 イギリス人 英国事務所へのアクセス方法
exmaple.co.jp/access/ 日本語 日本人 日本事務所へのアクセス方法

ただし、希望のccLTDドメインが取得できない可能性もあるので、ドメインが取れなかったら「gTLDのサブドメイン方式」でも問題ないでしょう。

先ほど挙げた通り、コンテンツも違えば管理する人も違うので、複雑なシステムを組めるケースをのぞいて「gTLDのサブディレクトリ方式」は避けた方が良いでしょう。


多言語サイトのドメイン・URLパターンと、それぞれのメリット・デメリットを見てきました。

サービス内容なユーザー層によってどの方式を選ぶのかは異なってきます。また、システムや予算の問題などもあると思うので、それぞれにあった最適なものを考えて選んでみてください。